相続診断士の田中です。人は誰でもいつかは死にます。誕生した全ての人は相続をさける事はできないのです。
相続とはある人が死亡したときに、死亡された人の財産を配偶者や子などの親族が引き継ぐことを言います。
うちは財産がないから・・・という方もいますが、引き継ぐのはプラスの財産だけではありません。
誰かの連帯保証人になっていたり、マイナスの財産も引き継ぐ事になるのですよ。
そしてもう一つは、相続=相続税だと思っている方が多いですが・・・
相続税がかからないから安心ではなく、相続で一番トラブルになるのは、相続税よりも遺産分割です。
相続が発生した際、相続人の中に認知症や知的障害の方がいる場合があります。
認知症や知的障害を持っていても相続人としての権利は有るので、無視をして遺産分割協議をすることはできません。
現在は、老々介護と言われ、夫婦間で介護をしていて夫が亡くなった時に妻が認知症を患っている・・・などどこのご家庭にもある話ではないでしょうか。
そしてこれらの人たちを除外して遺産分割協議を行っても、それは無効となり認められません。
(遺産分割とは、共同相続人による遺産の共有状態を、各相続人の単独所有にすることです。)
相続においては、意思能力(自分の状況を理解して物事を判断する能力)の有無が重要になりますよ。
なぜなら、意思能力を欠いた人が他の相続人の言いなりになって不利益な結果になる場合があり、そういった事態を避けるために、遺産分割協議を無効とする仕組みになっているのです。
今回は、認知症の家族がいる場合に是非押さえておきたい相続知識をご紹介いたします。
相続手続きにおいて、認知症の相続人がいると、その手続きは非常に面倒なものとなります。
というのも、法律的には「成年後見制度」を利用して相続手続きを行わなければならないからです。
認知症のように物事の正しい判断がきちんとできなくなっている相続人は、自分の権利を行使することができないと考えられています。
そのため代理人を立てて遺産分割協議をしなければその協議は無効となるのです。
安易に認知症の相続人を除外したり、適当に無視して遺産分割協議を行っても、それは無効となり、相続手続きのやり直しが必要になります。
また、遺産分割協議書に勝手に認知症の相続人の署名押印をすると、犯罪行為として罰せられる場合もありますから、手続き的には非常に面倒なものとなってしまいます。
それでは認知症の人の代理人はどのように選任し、どのような仕事をすることになるのでしょうか・・・
認知症の相続人がいる場合には、原則として「成年後見制度」という制度を使って代理人を立て、その代理人とともに遺産分割協議をしなければなりません。
成年後見制度では、「任意後見制度」と「法定後見制度」の二種類が想定されています。
①任意後見制度
元気なうちに代理人を決めてしまう制度です。
本人が元気なうちにあらかじめ信頼できる人との間で「任意後見契約」を締結しておき、判断能力が低下したときの財産管理等に備える制度です。 なかなか備えられる方は少ないですが・・・
②法定後見制度
既に本人の意思能力が低下・喪失している場合には、法定後見制度を利用します。
意思能力が失われてしまった人に対して、本人や親族等が家庭裁判所に申し立てを行い、法律上で定められた後見人を選任してもらう制度です。
後見人が本人に変わって法律行為をしたり、本人の行為に同意を与えるもしくは取り消すことで、本人が不利益を被らないよう本人の権利や財産を保護します。
成年後見人の選任手続きは家庭裁判所に申し立てをして行いますが、申し立てからすぐに選任手続きが終わるわけではなく、数ヶ月から1年近くかかり、費用もかかります。
専門家(司法書士や弁護士)に成年後見人になってもらうのは
報酬額のめやすはこちら→成年後見人等の報酬額のめやす
財産額などによっても幅があります。
もし、こういったご相談があれば、相続診断士のいるすまing までどうぞ。